
小学校受験を終え、見事合格を勝ち取られた年長さんの保護者の皆様、本当におめでとうございます。そして、長期間にわたる受験準備、本当にお疲れ様でした。
合格発表が終わり、ホッと胸をなでおろしている時期かと思いますが、少し落ち着いてくると、次のようなお悩みや疑問が湧いてくるのではないでしょうか。
- 「合格して気が緩み、せっかく身についた机に向かう習慣が消えてしまいそう…」
- 「私立や国立の小学校では、入学前からどれくらい先取り学習をしておくべき?」
- 「受験の勉強から小学校の勉強へ、どうやって切り替えればいいの?」

こんにちは。幼児から小学生・中学生・高校生まで一貫して指導している学習塾「カジきたラボ」代表のカジきたです。
一般的な幼児教室の先生は「小学校に合格して卒業するまで」を見届けますが、私たちは学習塾として「小学校受験で合格した子どもたちが、入学後にどこでつまずき、どういう子がグングン伸びていくのか」という“その後のリアル”を日々現場で見ています。
今回はその視点から、小学校入学までの数ヶ月間で「これだけは絶対にやっておいてほしい学習準備」をお伝えします。結論から言うと、難しい計算の先取りよりも最優先で身につけるべきなのは、
「①ひらがな・カタカナの確実な読み書き」
「②集中して授業を受けられる姿勢」
の2つです。
なぜ「難関小に合格した子」が入学後につまずくことがあるのか?
実は、難関小学校に立派な成績で合格したにもかかわらず、小学校1年生の夏頃から授業についていけなくなってしまうお子様が一定数いらっしゃいます。
なぜそのようなことが起こるのでしょうか。それは決してお子様の能力不足ではなく、「小学校受験の勉強」と「小学校の勉強」のルール(使う力)が全く違うからです。
- 小学校受験の学び: 耳で問題を聞き、頭で考え、具体物やペーパー(〇×や線結びなど)で素早く答える。
- 小学校での学び: 文字を読んで理解し、文字で書いて表現する。そして45分間座って、先生の話を聞きながら作業する。
特に私立・国立小学校は授業の進度が早く、周りのお子様も準備万端で入学してきます。
「文字や授業の受け方は、入学してから覚えればいいや」と思っていると、最初の段階で遅れを感じ、自信を失いやすいのです。
入学までの最大のミッションは、この「小学校の授業スタイルへのモードチェンジ」を行うことです。
【最重要スキル①】ひらがな・カタカナの確実な「読み書き」
1つ目の最優先事項は、ひらがな・カタカナの「読み書き」です。
なぜこれが最も重要かというと、小学校に入ると国語だけでなく、算数も理科も社会も、すべて「問題文(ひらがな・カタカナ)を読むこと」から始まるからです。
文字を読むこと・書くこと自体に脳のメモリ(エネルギー)を使ってしまうと、「問題の中身を考えること」や「先生の話を聞くこと」に集中できなくなってしまいます。入学までに以下の3つを意識して取り組んでみてください。
1. 「拾い読み」から「まとまり読み」へ
「あ・り・が・と・う」と1文字ずつの拾い読みの状態では、文章の意味が頭に入ってきません。
単語や文節のまとまりでスラスラ読めるよう、絵本の音読やひとり読みを習慣にしましょう。
2. 正しい鉛筆の持ち方・筆圧・書き順
お受験のペーパー対策では「スピード重視で線や印を書く」ことが多かったはずです。
ここからはモードを切り替え、正しい鉛筆の持ち方で、筆圧をかけて「とめ・はね・はらい」や正しい書き順を意識して丁寧に文字を書く練習へシフトしましょう。
3. カタカナまで一通り網羅する
「ひらがなは書けるけれど、カタカナはまだ曖昧」というケースがよくあります。小学校1年生の早い段階でカタカナは登場するため、ひらがなとセットで読み書きを定着させておくと入学後が圧倒的にラクになります。
【最重要スキル②】「集中して授業を受けられる姿勢」を作る
そして、今回私が最も力を入れてお伝えしたいのが、2つ目の「集中して授業を受けられる姿勢」です。
小学校のリアル「1コマ45分の壁」
小学校に入ると、授業は「1コマ45分」になります。これは幼児期のカリキュラムよりも1回の拘束時間がぐっと長くなります。
さらに、ただお行儀よく座っていればいいわけではありません。小学校の授業では、次の「3つの集中姿勢」が同時に求められます。
- 聞く: 先生の一斉指示や説明を、目を見て最後まで聞く力
- 書く: 聞いた内容や黒板の文字を、自分の手元(ノートやプリント)に書き写す力
- 切り替える: 「先生の話を聞く時間」と「自分の手元で作業する時間」をスムーズに切り替える力
「話を聞きながら手を動かす」「黒板とノートを交互に見る」というのは、実は新1年生にとって非常に高度なマルチタスクなのです。
今日から家庭でできる!4つの姿勢トレーニング
この「45分間の授業を受けられる姿勢」を入学までに作れるように、ご家庭で以下の4つのトレーニングを取り入れてみてください。
① 毎日の「机に向かうルーティン」を絶対に途切れさせない
合格直後は親子ともにゆっくり休んで喜びを味わうことも大切ですが、学習習慣を完全にゼロにしてはいけません。
一度途切れると、春になって再び机に座らせるのが大変になります。1日10〜15分でも構いませんので、「毎日決まった時間に机に向かうリズム」だけは必ずキープしてください。
② 足の裏を床につける・正しい姿勢の定着
集中力は「姿勢」から生まれます。
椅子に座ったときに足がブラブラしていると、体幹が安定せず集中力が続きません。足の裏がピタッと床(または足置き台)につくように学習机や椅子の高さを調整し、背筋を伸ばして座る環境を整えてあげましょう。
③ 「口頭指示を最後まで聞く」と「作業」の両立
ご家庭でのワークやお手伝いの際にも、「最後まで目を見て話を聞いてから行動する」練習を取り入れましょう。
また、口頭で言われた簡単な言葉を書き取るなど、「耳で聞いた情報を文字にする」練習も効果的です。
④ お手本を見て写す「視写(ししゃ)」の練習
小学校の「黒板をノートに写す(板書)」につながるトレーニングです。
最初は手元のお手本を見て同じように文字を書き写す練習から始め、慣れてきたら少し離れた場所にある文字を見て書く練習をしておくと、授業への適応がぐっとスムーズになります。
算数の先取りはどうすればいい?
「算数の計算先取りもやった方がいいですか?」というご質問もよくいただきます。
小学校受験を乗り越えたお子様であれば、「数の合成・分解(いくつといくつ)」の概念は、具体物を通してすでにしっかり身についているはずです。(もし、調べてみてお子さまが習得されていないようであれば取り組みましょう)
そのため、入学までに算数でやっておくべきことは以下の2点で十分です。
- 具体物から「数字・数式」への変換: お受験で培った数の概念を、算用数字(1, 2, 3…)や計算式(+、-)に結びつけるワークに取り組む。
- 時計の読み方: 小学校生活はチャイムや時間割で動くため、「何時何分」まで正確に読めるようにしておく。
算数においても、結局は問題文を読む力と、授業で先生の話を聞く姿勢が土台になります。
まとめ:自信を持って小学校のスタートラインに立とう!
今回のポイントをまとめます。
- お受験の「具体物・音声」の学びから、小学校の「文字・45分授業」へモードチェンジする
- 【最優先①】ひらがな・カタカナは「まとまり読み」と「丁寧な書き」まで定着させる
- 【最優先②】1日15分の学習ルーティン維持、足裏の接地、視写などで「45分間集中して授業を受ける姿勢」を作る
- 算数は「数字・数式への変換」と「時計の読み方」をおさえておけばOK
小学校受験という大きな山を親子で乗り越えた皆様なら、すでに素晴らしい学習の土台が備わっています。
焦って難しい先取りを詰め込みすぎるよりも、入学までの数ヶ月間で「文字の読み書き」と「集中する姿勢」を整えておくこと。
それが、「小学校の授業って楽しい!」「わかるって面白い!」という知的好奇心と自信につながり、将来にわたって『自ら学ぶ子』へと大きく飛躍するカギになります。

ぜひ今日から、1日15分の家庭学習で新しいステップを踏み出してみてくださいね!
