
小学校受験を終え、志望校の合格を勝ち取られたご家庭の皆様、本当におめでとうございます。そして長期間にわたる受験対策、本当にお疲れ様でした。
合格発表が終わってホッと胸をなでおろしたのも束の間、少し落ち着くと次のような不安を感じる保護者様は少なくありません。
- 「受験が終わって気が緩み、せっかく身についた学習習慣がゼロになってしまいそう…」
- 「私立・国立小学校では、入学前にどこまで先取り学習をしておくべき?」
- 「難しい先取り計算をどんどん進めるべきなの?」
京都市左京区岩倉で、幼児教育(幼児教室カジきっず)から小・中・高校生(学習塾カジきたラボ)までを一貫指導している現場の視点から、「小学校受験で合格した子が、入学後にどこでつまずき、どういう子がグングン伸びていくのか」というリアルな現実をお伝えします。

結論からお伝えすると、小学校入学までの数ヶ月で最優先に取り組むべきなのは、難しい計算の先取りではなく「①ひらがな・カタカナの確実な読み書き」と「②集中して授業を受けられる姿勢」の2つです。
※本記事の内容は、YouTube動画でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
なぜ「難関小に合格した子」が入学後につまずくのか?
京都でいえば京都教育大学附属小中をはじめ、同志社や立命館などの人気私立小に合格するお子様は、非常に高い能力や思考力を持っています。しかし、全員が入学後も順調に伸び続けるかというと、決してそうではありません。
実は、「小1の夏休み前後」に最初の大きな壁(つまずき)が訪れます。
その原因は、決してお子様の能力不足ではなく、「小学校受験の学び」と「小学校の授業」で求められるルール(使う力)が根本的に異なるからです。
| 項目 | 小学校受験の学び | 小学校(特に私立・国立)の学び |
| 情報のインプット | 耳(口頭指示)が中心。目線は手元の具体物やペーパー | 文字を読んで理解する。黒板・教科書・プリントを交互に見る |
| アウトプット | 丸つけ・線結び・具体物の操作・面接(会話) | 文字で書いて表現する(ノートの板書・テスト・連絡帳) |
| 集中と持続時間 | 1問あたり2〜3分、長くても5分程度で次々切り替わる | 1コマ45分間、同じテーマで着席し続ける |
お受験で蓄えた知識や思考力は、1学期(夏前)までの内容であれば難なく乗り切れます。しかし、夏以降に「本格的な漢字」が始まり、2年生で「九九」が始まる頃には、幼児期の貯金は使い果たされてしまいます。

そこで必要なのが、授業そのものをしっかり吸収するための「学習の土台(モードチェンジ)」なのです。
【最優先スキル①】ひらがな・カタカナの確実な「読み書き」
公立小学校ではひらがなを基礎からじっくり教えますが、難関私立・国立小学校では「全員が読み書きできる前提」で授業がハイペースに進むケースが多々あります。入学までに以下の3点を固めておきましょう。
1. 「拾い読み」から「まとまり読み」へ
「あ・り・が・と・う」と1文字ずつ音を拾う読み方では、文章の意味を脳で理解できません。「ありがとう」という単語・文節のまとまりでスラスラ読めるよう、絵本の読み聞かせから「お子様自身の音読・ひとり読み」へとステップアップさせましょう。
2. 道具から見直す!正しい鉛筆の持ち方・筆圧・書き順
受験のペーパーではスピード重視で印をつけていたため、筆圧や持ち方に癖がついている場合があります。
市販の細いHB鉛筆を無理に使わせず、幼児用の太い三角・六角鉛筆(くもんやこどもちゃれんじ等の4B〜6Bの柔らかい芯)を選んであげてください。柔らかい芯を使うことで、握力の弱い幼児でも「とめ・はね・はらい」を綺麗に書く感覚が身につきます。書き順も頭が柔らかい今のうちに整えておくことが大切です。
3. カタカナの完全マスター
日常生活のポスターや絵本はひらがな中心のため、カタカナの定着は見落とされがちです。しかし小学校の教科書や問題文では、カタカナにひらがなのルビは振られません。カタカナが読めないと問題文の意味が自力で掴めなくなるため、市販のワーク等で入学前に網羅しておきましょう。
文字を「読む・書く」作業に脳のエネルギーを消費してしまうと、先生の解説を聞いたり、問題をじっくり考えたりする余力が残りません。無意識にスラスラ処理できるレベルにしておくことが重要です。
【最優先スキル②】「45分間集中して授業を受けられる姿勢」を作る
小学校の授業は1コマ45分です。先生の話を聞きながら手元でノートを取るなど、高度なマルチタスクが求められます。家庭で身につけたい姿勢と習慣のポイントは次の4点です。
① 受験終了後も「1日15分の学習ルーティン」を継続する

合格後に完全に勉強をゼロにしてしまうと、春に再び机へ向かわせるのが非常に難しくなります。
45分もやる必要はありません。「朝食後」や「夕食前」など時間を固定し、1日15分だけ集中してプリントに向かうリズムを維持してください。
② 足の裏を床につける!体幹を支える学習環境
大人用の椅子で足がブラブラ浮いていると、手元に力が入りにくく、姿勢が崩れて集中力が途切れてしまいます。
背筋が自然と伸び、「足の裏がピタッと床(または足置き台・ステップ)につく高さ」に机と椅子を調整してあげてください。
③ 「聞いて書く」「見て写す(視写)」のトレーニング
- 耳から手へ連動させる(メモ習慣): 「今日の夕食メニュー(ハンバーグ・ご飯・お味噌汁など)」を口頭で伝え、メモ用紙に書いて冷蔵庫に貼ってもらうなど、お手伝いを通じた楽しいメモ書きを取り入れます。
- 手本を見て写す(視写): 電車図鑑の名前や絵本の短い一節を丁寧に書き写す練習です。これが小学校での「黒板をノートに書き写す(板書)」の直接的な基礎になります。
④ 「聞く」と「書く」のスムーズな切り替え
先生の顔を見て話を聞く時間と、手元のノートに集中する時間を素早く行き来できる練習を日常会話の中で意識してみましょう。
算数の先取りはどうする?「計算」より「時計」を優先!
算数に関しては、小学校受験を乗り越えたお子様であれば「数の合成・分解(いくつといくつ)」の感覚が十分に備わっています。そのため、詰め込み計算よりも次の2点を優先してください。
- 具体物から「数字・数式(+、−)」への置き換え
- 「アナログ時計」の読み方(何時何分まで)
現代の子どもたちはデジタル時計に慣れていますが、学校の教室にあるのは黒板の上の丸いアナログ時計です。針を見て「あと何分で休み時間が終わるか」「次の授業まで何分あるか」を見通せる力は、入学直後からの自立した集団生活を強力に後押しします。
まとめ:自信を持って小学校のスタートラインへ!
- お受験の「具体物・耳」から、小学校の「文字・45分授業」へ切り替える
- ひらがな・カタカナは「まとまり読み」と「太芯鉛筆による丁寧な書き」を定着させる
- 1日15分の習慣、足裏の接地、視写で「45分集中できる姿勢」を作る
- 算数は数式への変換と「アナログ時計の読み」をおさえる
厳しい受験期を乗り越えたお子様とご家庭には、すでに素晴らしい土台があります。

詰め込みすぎず、毎日の小さな習慣を通じて「文字が読めて書ける楽しさ」「話を聞く心地よさ」を育み、自信に満ちた笑顔で入学式を迎えてくださいね!
